昨年、お世話になっている金沢のギャラリー「クラフトA」さん
からの注文で、不思議なものを作らせていただいた。
写真のモノだが、大変小さい「さじ」である。(隣は楊枝)
なにに使うかと言えば、書道の際、墨をするための水をくむための匙なんだそうである。
水滴という道具があるが、それなら作っていて、僕自身の定番モノにもなっているが、
こういう形式のものははじめてで驚いた。
昔は大きな書道具屋さんへ行けばおいてあったそうだが、
今は全然見つからないとの事。
思いを伺い、サンプルを見せていただき、制作したところたいそうよろこばれたとかで、
僕自身もホッと胸を撫で下ろした。
その後、東京国立博物館の法隆寺宝物館にて、
聖徳太子が使ったという同じ用途の匙が展示されており、
意外な歴史の深さにふたたびびっくらこいたのでした。
それで、今回その匙の再注文である。
そんなに喜んで頂けたのかとこちらも嬉しくなってしまうのであるが、
考えてみれば、僕も箱書きの際、ほんの少ししか水は用いず、確かにこの匙は具合がいいかもしれない。
使ってみないうちはおすすめもできないので、自分のぶんも含め2個制作した。
作り方が思い出せないので、アーダコーダしながらようやく完成。
あー、あんな道具作るともっと的確に作れるなあとかいろいろ想像しながら楽しい制作。
技術的にも、歴史的にも、文化的にも色々教えてくれるいい仕事となった。
注文してくれたお客様と、取り次いでくれたギャラリーに感謝。
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