私は“始まり”という事をテーマに制作をしています。
それは金属を融かす火を見た事がきっかけでした。
原初の地球が巨大な火の玉となって火柱をあげている様子や、
火を扱えるようになった古代の人たち、
さらに金属を融かすほどの高温を手に入れた過程などに思いを馳せました。
宇宙がビッグバンと呼ばれる巨大な爆発を始まりとしているように、
火そのものが始まりであります。
そして、いろんな祭りで火が象徴的に使われているように
火は信仰であり、祈りであります。
火の持つ圧倒的な力と神聖さは
誰もが共有できる人間の根底にある始原的な感覚だといえるでしょう。
一方、現在の社会を見ていると
社会が進化していくほど人間自身の感覚とは
ひずみを生じてきているように感じます。
人間が人間の尊厳を大切にし、生きとし生けるものを尊重すること、
それさえも薄れてしまったのは
人間が傲慢になり自分を圧倒する存在を忘れてしまったからではないでしょうか。
始原的な感覚を、火によって、また融けた金属によって取り戻す事が
私の制作する原点なのです。
角居康宏 作品
展示風景
評
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